お部屋のインテリアに興味がある方には非常に身近な塗料がウレタン塗料です。何よりも高級感のある美しい光沢が多くの人の目を引きます。
現在よく使われている場所は、軒天井、破風板、雨どい、雨戸、戸袋など、どちらかというと建物の本体部分よりも付帯部分に多く利用されています。
今回は外壁塗装のウレタン塗料の特徴とメリット・デメリットについて、わかりやすく紹介します。
ウレタン塗料の特徴と概要
ウレタン塗料が世に出たのは1950年代の初頭といわれています。
ただしこの頃はアクリル塗料が急激に広まっていた頃でした。ウレタン塗料は約15年ほど前までは外壁塗装としても利用されていましたが、現在では外壁塗装にはほとんど使われなくなりました。
その後ウレタン塗料は新しく開発されたシリコン塗料に外壁塗装の主役の地位は奪われます。ただし現在でもウレタン塗料の方が適した現場も多数あります。
ウレタン塗料を一言で表わすと、強烈なメリットもない代わりに、極端に悪いデメリットも持ち合わせていない平均的なポジションの塗料ということができます。
一般的に塗料は、顔料、添加剤、合成樹脂の混合物です。ウレタン塗料という名称の由来は、合成樹脂の中に「ウレタン合成樹脂」が使用されていることからその名が使われています。
ウレタン塗料のウレタンとは、「ポリウレタン」のことです。特徴はゴムのように弾力があり伸縮性が非常に高い素材です。「ポリウレタン」自体は使い勝手が良い素材なので現在は衣類など我々の生活にはなくてはならないものに利用されています。
ウレタン塗料を塗った印象は体育館の床にワックスかけをした後のような仕上がりと思われてください。ピカピカ光る光沢こそがウレタン塗料の最大の持ち味です。
ウレタン塗料の強度・耐用年数・耐久性
ウレタン塗料の強度が最も効果を発揮するのが、ヒビが入りやすい建物です。
ウレタン塗料は柔かく弾力があり伸縮性が非常に高いという特徴を持っています。特に塗装後に乾燥してからも塗膜が柔らかいことからヒビが入りにくいです。
またウレタン塗料は耐薬性が高いという特徴があります。特に化学工場など薬品により汚染が激しい場所において効果を発揮します。
さらに屋内の木製建具や木製家具、フローリングの塗装などにおいても強さを発揮します。
ウレタン塗料の耐久年数ですが、アクリル塗装に次いで短く、6~8年程度といわれています。現在主流のシリコン塗装の約10年~15年と比較すると半分ほどの短さです。
特に屋外ではウレタン塗料の主成分であるイソシアネートが紫外線に弱く、屋外で使っていると黄色に変色してしまいます。
また雨にも弱く、ウレタン塗料の硬化剤が水分をキャッチしやすく長期で水分にさらされると塗膜の機能が低下していきます。
さらに紫外線や雨によって劣化が進むと塗膜が薄汚くなり、やがて古臭い見た目になってしまいます。
ウレタン塗料は屋内ではそれほど耐久性は低くはありませんが、屋外になると俄然耐久性の低さを露呈してしまいます。
ウレタン塗料の評判・評価
〇ウレタン塗料の良い評判・評価
ウレタン塗料に対する良い評価で最も多いのが、塗膜がハイグレードな美しいツヤのある仕上がりになってくれることです。
ツヤがある塗装が好まれる利用者には大変人気があります。
また美しい仕上がりが実現できることに加え、単価がアクリル塗料とシリコン塗料の丁度中間の価格なので、リーズナブルな価格を望む方にも非常に好評です。
さらに木材、塩ビパイプ材、鉄材と塗る対象を選ばないということも、利用者からは高い評価を得ています。使い勝手が良い塗料という印象も獲得しています。
×ウレタン塗料の悪い評判・評価
ウレタン塗料に対する悪い評価で最も多いのが、塗り替えのスパンが短いことです。
発売当初はそれほど目立った点ではありませんでしたが、現在主流のシリコン塗装が発売されてからは状況が一変します。どうしてもシリコン塗装と比べられてしまい、塗り替えのスパンの短さに対するご不満が多いのも事実です。
2つ目が塗膜面に汚れがつきやすかったり、塗装後時間がさほど経っていなくても年季が経った古い塗装に見えてしまうことです。ほとんどの方はせっかく塗装したのに、古ぼけた仕上がりになってしまうのが理解しがたいと思われる方が多いです。
3つ目が初心者のDIYでもそうですが、熟練した職人でも2液性のウレタン塗料の扱いは大変厄介という点です。キャリアが浅い職人が塗装すると不具合が起きやすく、業界では敬遠している業者もいるといわれています。
■参考:シリコン塗料の特徴
↑現在最も使われていて、最もコスパの高い塗料がシリコン塗料です。
ウレタン塗料の価格・相場
ウレタン塗料の㎡単価は「1,800~2,000円」くらいが相場といわれています。現在外壁塗装で主流のシリコン塗装に比べると約6割ほどの安さです。
アクリル塗料ほど極端な安さではありませんが、塗料全体から見ると安い部類であり、リーズナブルなお値段で塗装することができます。
ただし紫外線や雨に弱いので、ウレタン塗料の良さを出すにはできるだけ屋内のものに対して塗装される方が良いでしょう。屋内であれば思っている以上に効果が長く持ち十分採算を取り返してくれることでしょう。
また膨大な面積をシリコン塗装を使うことで、コストがかかり過ぎる時がウレタン塗料の出番です。
ウレタン塗料は広い面積を安く塗ることができます。
ウレタン塗料のメリットとデメリット
〇 ウレタン塗料のメリット
- 全ての塗料の中では㎡単価は安い方で、比較的リーズナブル
- 光沢があり高級感漂う美しいツヤを持つ仕上がりになる
- 国内外の多くの塗料メーカーが取り扱っていることからバラエティーが豊富
- 柔かく塗膜に弾性や伸縮力があり、ひび割れに強い
- 素材に対して密着性が非常に高い
- 耐薬性が高く汚染に強い
- 硬化剤によって様々な作用を発揮してくれる
- 塗装後のメンテナンスが楽
- 木材、塩化ビニールパイプ系、鉄材など塗装対象を選ばない
× ウレタン塗料のデメリット
- 現在主流のシリコン塗料に比べると耐久年数が劣る
- 紫外線に弱く、黄色く変色しやすい
- 配合成分イソシアネートに強い毒性がある
- 汚れやすく、汚れが付着しやすい
- 配合された硬化剤が水分をキャッチしやすく、塗膜性能が低下しやすい
- シリコン塗料の約8割の光沢保持率しかない
- ウレタン塗料用のシンナーを使わなければならない
- 2液性の使い勝手が非常に厄介、職人泣かせ
ウレタン塗料のメリットとデメリットの総評としては、日差しや雨に直接当たらない場所に大量に使われる場合には、魅力ある塗料といえます。
ウレタン塗料が向いている場面
ウレタン塗料が向いている人は、光沢があり高級感漂う美しいツヤを好まれる方です。
また大量の面積を塗りたい方や、コストダウンをご期待される方にも向いています。